皆様、世界農業遺産「茶草場農法」ってご存知ですか?

正直私たちも、2016年の今年まで詳しく知らなかったのですが、新茶時期にご紹介いただいた生産家のお茶が当社好みで、
初めて仕入れをしたお茶が実は「茶草場農法」の生産家だったのでした。
また、当社がスタートしてから長年共にお茶作りをしてきた生産家も「茶草場農法」認定の生産家でして、
結果として、今年はかなりの量の「茶草場農法」の茶葉を皆様にお届けしていることになっていたのでした。
そこで詳しく調べていくと、平成27年度農水省の資料で全国の生産家約20,000件の中で
「茶草場農法認定生産家」は587戸、全体の3%以下であることがわかりました!!
品質に関しては「好み」もあるので、「茶草場農法」のすべての茶葉が「好み」に合うとは言い切れません。
しかしながら、自然を大切にする農法を続けてきている生産家の茶葉をお届けできることは、
専門店としてとても価値のあることだと思います。
そして今年が特別ではなく、毎年積み重ねてきたことが、このようなことにつながることが嬉しいです。
下記は「茶草場農法」に関してわかりやすく説明してある

 

世界農業遺産とは?

世界農業遺産とは、国際連合の食糧農業機関(FAO)が始めた登録制度です。     

当初は、発展途上国の農業を紹介し、地域を発展させるための制度として発効しました。

現在は、世界の重要な農業システムを後世へと残すための登録制度となっています。

これまでに、世界で19地域が登録されていました。

そして、平成25年5月29日から石川県七尾市で開催された「世界農業遺産(GIAHS)国際会議」において、「静岡の茶草場農法」が、「阿蘇の草原の維持と持続的農業」、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」と共に、日本では、既に認定されている「トキと共生する佐渡の里山」と、「能登の里山里海」に次いで3番目となる世界農業遺産としてFAO(国際連合食糧農業機関)に正式に認定されました。

 

「静岡の茶草場」は、世界的にも貴重な事例です!

 茶草場農法とは、茶園周辺で刈り取ったススキやササなどを、茶畑に有機肥料として投入する農法です。この投入する草を刈り取る採草地を、茶草場と言います。かつては、日本各地で見られたこの茶草場農法ですが、生産方法の変化や時代の変化にともなって、現在では、静岡県など、ごく一部だけで続けられています。その中でも、静岡県のお茶農家は、この農法を行うことでお茶の品質が向上すると信じて、伝統的に行ってきました。
 そして、この伝統的に継続されてきた茶草場農法が、茶草場を貴重な生物(キキョウ等の植物や、羽のないバッタ「カケガワフキバッタ」等の動物)が住む特別な場所と変えていったのです。
 良いお茶を作ろうとする農家の営み・努力と生物多様性の確保が両立しているこの地域は、世界的にも非常に珍しい事例です。
 そこで、現在、茶草場の存在が確認されている掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の5市町で協力して世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会をつくり、登録を目指して活動をしてきました。
 世界農業遺産(GIAHS)国際会議では、より良いお茶の生産をするために、当地域で伝承され取り組まれ続けてきた茶草場農法により、茶農家が茶園周辺の半自然草地、すなわち茶草場の草を刈り取り管理することで、生物多様性保全が守られるという、生物多様性保全と持続的な自然と共生する農業生産活動の面で評価を頂きました。
 静岡の茶草場を守り続けてきた茶農家の皆様の長年の取り組みが実を結んだものと考えています。
 しかし、世界農業遺産の登録は、ゴールではなく、新たなスタートです。私たちは、この認定を誇りに思うとともに、受け継いできたこの農法の価値を認識し、今後は、策定した「静岡の茶草場農法」GIAHSアクションプランに基づき、より一層の持続可能な農業生産活動と、生物多様性保全への取り組みを推進していきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です